空き家所有者への仕入れ営業|狙い目物件の見極め方とアプローチ法

2026年8月7日

目次

空き家所有者への仕入れ営業|狙い目物件の見極め方とアプローチ法

一括査定サイトにおける競合の激化から、他社と競合しない独自の仕入れルート開拓に課題を感じている不動産会社も少なくありません。
特に、相続などの事情を抱える「訳あり」物件は、市場に出回る前に情報を掴むことが重要です。

この記事を読めば、競合が少ない空き家オーナーと早期に接触し、媒介契約や直接買取に繋げるための具体的な営業プロセスを習得し、実践できる状態になります。

なぜ今「空き家仕入れ」なのか?競合を避けて安定した仕入れを実現する営業手法

不動産業界で安定した収益を上げるには、継続的な物件の仕入れが不可欠です。
しかし、近年はポータルサイトや一括査定サイトでの競争が激化し、従来の営業手法だけでは限界が見え始めています。
そこで新たな仕入れ先として注目されているのが、全国に存在する空き家です。

適切に管理されていない「訳あり」物件も含め、空き家をターゲットにすることで、競合を避けつつ新たなビジネスチャンスを創出できる可能性があります。

増加し続ける空き家市場の将来性とビジネスチャンス

空き家市場は全国的に拡大しており、不動産業界にとって大きなビジネスチャンスが眠っています。
総務省の「住宅・土地統計調査」によると、2023年時点での全国の空き家は約900万戸にのぼり、今後も増加が見込まれる状況です。
これらは潜在的な売却物件であり、放置されれば周辺環境の悪化にもつながるため、所有者だけでなく地域社会も解決を望んでいます。

不動産会社が専門家として介入し、流通を促すことで社会貢献と収益化を両立できます。

一括査定サイトに依存しない独自の仕入れルートを構築する方法

空き家所有者への直接アプローチは、一括査定サイトに依存しない独自の仕入れルートを構築する有効な手段です。
査定サイト経由の案件は複数の不動産会社が競合するため、厳しい価格競争や手数料の値下げ交渉に陥りがちです。
一方、まだ売却を本格的に検討していない空き家所有者へ先行してアプローチできれば、競合不在の状況で交渉を進められる可能性が高まります。

相続で取得したものの活用法に困っているなど、「訳あり」の事情を抱える所有者と早期に関係を築くことが鍵となります。

不動産仕入れにおけるコストを抑えられる可能性

空き家仕入れは、通常の不動産取引に比べて広告費などのコストを低減できる可能性があります。
所有者自身が物件の価値を正確に把握していなかったり、固定資産税や管理の負担から早く手放したいと考えていたりするケースも少なくありません。
特に遠方に住む相続人が所有者である場合や、建物の状態が悪い「訳あり」物件の場合、不動産会社からの買取提案を歓迎することも多いです。

このような物件を直接仕入れることで、仲介手数料や多額の広告費をかけずに済みます。
より詳しい仕入れのコツについては「不動産仕入れで成果を出すコツ」で詳しく紹介しています。

ステップ1:売却確度の高い「狙い目空き家」を見極める3つのポイント

やみくもに空き家へアプローチしても、成果には結びつきにくいものです。
効率的な不動産営業のためには、数ある空き家の中から、所有者が売却を検討する可能性が高い「狙い目」の物件を見極める必要があります。
外観の管理状況や登記情報、行政からの指定状況などを複合的に分析することで、アプローチすべき「訳あり」物件の優先順位を判断できるようになります。

外観から判断する空き家の管理状況と放置されている期間

建物の外観や敷地の状態は、空き家の管理状況と放置期間を推測する重要な手がかりです。
庭に雑草が生い茂っていたり、郵便受けがチラシで溢れていたり、窓ガラスが割れたまま放置されていたりする物件は、所有者が適切に管理できていない可能性が高いと考えられます。
特に、外壁の塗装が剥がれていたり、屋根に傷みが見られたりする物件は、長期間放置されている証拠であり、所有者が不動産の活用に困っているサインと読み取れます。

登記情報から所有者の状況を正確に読み解く方法

登記事項証明書を取得することで、所有者の氏名や住所、権利関係を正確に把握できます。
登記情報は法務局の窓口のほか、オンラインの登記情報提供サービスでも取得可能です。
所有者の住所が物件所在地から遠い場合、管理が行き届いていない可能性が高く、売却提案に応じやすい傾向があります。

また、相続登記が未了であったり、複数の共有者が存在したりする「訳あり」不動産は、権利関係が複雑でトラブルにつながる前に売却したいというニーズが潜在していると考えられます。

行政が公開する情報から特定空家などの指定状況を確認する

自治体が公開する情報や窓口への問い合わせにより、対象物件が特定空家や管理不全空家に指定されているか確認できます。
これらの指定を受けると、所有者は行政からの指導や勧告の対象となり、最終的には固定資産税の優遇措置が解除されるなどのペナルティが課せられます。
こうした訳あり物件の所有者は、問題を解決するために不動産の売却を前向きに検討する可能性が極めて高く、営業アプローチの優先度が高いターゲットです。

ステップ2:空き家所有者の売却動機を高める「管理不全空家」制度のインパクト

空き家問題の深刻化を受け、2023年に空家等対策特別措置法が改正されました。
この法改正は、空き家所有者の意識に大きな影響を与え、不動産会社にとっては新たな営業の切り口となるものです。

特に新設された「管理不全空家」の制度を正しく理解し、所有者の潜在的な不安に寄り添った提案を行うことで、これまで動かなかった「訳あり」物件の売却交渉を前進させることが可能になります。

2023年改正の空家法で新設された「管理不全空家」の概要

2023年12月13日に施行された改正空家法では、従来の特定空家に至る前の段階として、新たに管理不全空家の区分が設けられました。
これは、放置すれば将来的に特定空家になるおそれがある状態の空き家を指します。
具体的には、窓ガラスが割れていたり、ゴミが散乱していたりする状態の不動産が該当します。

自治体は管理不全空家の所有者に対して、物件を適切に管理するよう指導・勧告を行えるようになりました。

固定資産税の負担が最大6倍になり得る仕組みと所有者への影響

管理不全空家として自治体から勧告を受けると、固定資産税の「住宅用地特例」が適用除外となります。
この特例は、住宅が建つ土地の課税標準額を最大で6分の1に減額する制度です。
この軽減措置がなくなることで、所有者が支払う固定資産税額は、結果的に最大6倍相当に増加する可能性があります。

この税負担の急増は、空き家を所有し続けることの経済的リスクを所有者に強く認識させ、不動産の売却や活用を真剣に検討させる大きなきっかけとなります。

制度変更をきっかけに営業アプローチをかける有効性

この制度変更は、所有者の危機感を喚起し、売却提案を受け入れてもらいやすくする絶好の営業機会となります。
不動産会社は、単に「売りませんか」と提案するのではなく、「このままだと税金が大幅に上がってしまう可能性があります。そうなる前に、専門家として最善の解決策をご提案します」というスタンスでアプローチすることが有効です。
法改正という客観的な事実を基に、所有者の「訳あり」な悩みに寄り添うことで、信頼を得やすくなります。

ステップ3:駐車場や遊休地の地主へ響く効果的な営業アプローチ戦略

仕入れのターゲットは空き家だけではありません。
更地の駐車場や長年活用されていない遊休地も、不動産会社にとって価値ある仕入れ対象です。
これらの土地を所有する地主は、空き家所有者とは異なる種類の課題やニーズを抱えています。

税金対策や管理コストといった地主特有の悩みを理解し、的な解決策を提示することが、仕入れ営業を成功させる鍵となります。

相続や税金対策を切り口に地主の課題を解決する提案方法

相続税の納税資金確保や毎年の固定資産税負担の軽減といった税金対策は、地主の関心が極めて高い有効なアプローチの切り口です。
特に、複数の土地を所有している地主や高齢の地主に対しては、将来の相続を見据えた生前対策としての土地売却や、資産の組み換えを提案することが効果的です。
税理士などの専門家と連携し、具体的なシミュレーションを提示しながら提案することで、信頼性が増し、大型の不動産取引に繋がる可能性が高まります。

維持管理コストの負担増から潜在的な売却ニーズを探る

草刈りや清掃、固定資産税といった土地の維持管理コストは、収益を生んでいない遊休地を持つ地主にとって継続的な経済的負担であり、売却の潜在的な動機になり得ます。
営業の際には、年間でどれくらいのコストが発生しているかを具体的に試算して提示し、売却して現金化することのメリットを分かりやすく説明することが重要です。
特に遠隔地に土地を所有している地主は、管理の手間から解放されたいというニーズが強く、不動産会社からの提案を前向きに検討する可能性があります。

周辺の開発計画と連動させて新たな土地活用を提案する

周辺地域の開発計画や都市計画の情報を基に、将来的な価値向上を見込んだ土地活用の提案が有効です。
自治体のウェブサイトや公表資料を調査し、「近隣に新しい駅ができる計画がある」「商業施設の建設計画が進行中」といった具体的な情報を収集します。

その上で、アパート経営や貸店舗、駐車場経営といった、その土地のポテンシャルを最大限に活かす活用法を不動産のプロとして提案することで、地主の関心を引き、売却や事業パートナーとしての関係構築に繋げられます。

ステップ4:空き家・遊休地の情報を効率的に収集する具体的な方法

空き家や遊休地の仕入れ営業を成功させるには、まず対象となる不動産の情報を正確かつ効率的に収集することが不可欠です。
机上の調査だけでなく、実際に現地に足を運んで得られる情報や、公的機関が保有するデータを組み合わせることで、より精度の高いアプローチリストを作成できます。
ここでは、アナログとデジタルの両面から、効果的な情報収集の具体的な方法を解説します。

現地調査と近隣住民へのヒアリングでしか得られない一次情報

現地を直接歩き、近隣住民から話を聞くことで、インターネットや書類だけでは得られない貴重な一次情報を収集できます。
例えば、「あの家は〇〇さんが相続したらしいが、遠くに住んでいて誰も来ていない」「最近、所有者らしき人が片付けに来ていた」といった情報は、アプローチのタイミングや内容を考える上で極めて重要です。
一見、非効率に見える足を使った調査ですが、質の高い「訳あり」物件の情報を掴むためには欠かせない不動産営業の基本です。

自治体が運営する空き家バンクや相談窓口の活用法

多くの自治体では、空き家の流通を促進するために「空き家バンク」制度や専門の相談窓口を設置しています。
空き家バンクに登録されている物件は、所有者がすでに売却や賃貸の意向を持っているため、成約に結びつきやすいのが特徴です。
また、自治体の担当者と良好な関係を築くことで、バンク登録前の「訳あり」物件情報をいち早く入手できる可能性もあります。

地域の不動産事情に精通する協力者として、積極的に活用すべき情報源です。

オンラインの登記情報提供サービスを利用した所有者調査

オンラインの登記情報提供サービスを活用すれば、法務局へ足を運ぶことなく、オフィスにいながら効率的に不動産の所有者情報を調査できます。
特定のエリアの空き家リストを作成した後、このサービスを使って所有者の氏名や住所を特定し、DM送付などのアプローチに繋げます。
移動時間や待ち時間を削減できるため、営業活動全体の生産性を大幅に向上させることが可能です。
特に広範囲のエリアを対象にする場合に有効な手法です。

ステップ5:空き家所有者の心を開くアプローチ実践テクニック

空き家や遊休地の情報収集とリスト作成が完了したら、次はいよいよ所有者へのアプローチです。
しかし、所有者は突然の営業に対して警戒心を抱いていることがほとんどです。
一方的な売り込みではなく、相手の状況や心情に寄り添い、信頼関係を築くことが何よりも重要になります。

ここでは、手紙や訪問営業など、具体的な場面で使える実践的なテクニックを紹介します。

反響率アップを狙う手紙(DM)の書き方と最適な送付タイミング

所有者の不安に寄り添い、パーソナライズされた内容の手紙を送付することが反響率向上の鍵となります。
単なる買取広告ではなく、「近隣を拝見し、立派なお宅でしたのでお手紙しました」といった個別性を感じさせる一文や、手書きのメッセージを添えることが有効です。
また、管理不全空家制度に触れて専門家として相談に乗れることを伝えたり、固定資産税の納税通知書が届く5月~6月頃に合わせて送付したりするなど、タイミングを工夫することも反響に繋がります。

訪問営業で警戒されずに信頼関係を築くための会話術

初回訪問では自社の宣伝や売却の提案をせず、まずは自己紹介と近隣での活動報告といった情報提供に徹し、信頼関係の構築を最優先することが重要です。
インターホン越しではなく、一度玄関先まで出てきてもらえるよう丁寧にお願いし、「この地域を担当しております〇〇不動産の△△です」と身分を明かします。
その上で、「何かお困りごとはございませんか?」と相手の状況をヒアリングする姿勢を見せることで、警戒心を和らげることができます。

所有者が抱える不安を解消する具体的な提案内容の作り方

残置物の処分、建物の解体費用、相続に関する税金や手続きなど、所有者が抱える具体的な不安に対して、ワンストップで解決策を提示することが成約への近道です。
「訳あり」の状況を丁寧にヒアリングした上で、「家財の処分は提携業者がお安く引き受けます」「解体費用を差し引いた形での買取も可能です」といった具体的な提案を行いましょう。

司法書士や税理士といった専門家と連携し、複雑な手続きも代行できる体制を整えておくことで、所有者は安心して任せられます。

空き家仕入れ営業を成功に導くための実践上の注意点

空き家仕入れ営業は、大きなビジネスチャンスを秘めている一方で、進め方を誤るとトラブルに発展しかねないデリケートな側面も持ち合わせています。
所有者の心情への配慮を欠いたアプローチや、法令を無視した営業活動は、会社の信用を大きく損なう原因となります。
ここでは、長期的な成功のために必ず押さえておくべき実践上の注意点を解説します。

所有者それぞれが抱える複雑な事情や心情への配慮

空き家には、相続トラブルや故人との思い出など、所有者一人ひとりの複雑な事情や背景が存在するため、デリケートな心情への配慮が不可欠です。
特に、親から相続した実家などの場合、売却に対して寂しさや罪悪感を抱いているケースも少なくありません。

営業担当者は、物件を単なる「商品」として扱うのではなく、所有者の気持ちに寄り添い、カウンセラーのような立場で話を聞く姿勢が求められます。
信頼関係なくして、大切な不動産を任せてもらうことはできません。

しつこい営業と思われないための適切なアプローチ頻度

所有者の反応を見ながら、数ヶ月に一度など、忘れられない程度の適切な間隔を空けて接触を続けることが有効です。
初回のアプローチで断られたからといって、すぐにあきらめる必要はありません。
しかし、連日のように電話をかけたり、頻繁に訪問したりする行為は「しつこい営業」と受け取られ、関係を悪化させるだけです。

季節の挨拶状を送ったり、地域の不動産情報を提供したりするなど、相手の負担にならない形での定期的な情報提供が、将来の機会に繋がります。

宅地建物取引業法などコンプライアンスを遵守した営業活動

無免許での営業活動や、「絶対に高値で売れる」といった断定的な判断を提供する誇大広告など、宅地建物取引業法に抵触する行為は絶対に行ってはなりません。
コンプライアンスの遵守は、不動産会社として事業を継続するための大前提です。
特に、所有者の不安を過度に煽って契約を急がせるような営業手法は、後々のトラブルの原因となります。
常に法令を遵守し、誠実な営業活動を心がけることが、顧客からの信頼と長期的な成功に繋がります。

空き家や地主を自ら探し出してアプローチする手法は、現地調査や行政情報の確認、所有者の心情への配慮など、多大な時間と労力を要します。
一方で、売却をすでに検討している所有者からの反響を直接受け取れる方法もあります。

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空き家の仕入れ営業に関するよくある質問

空き家の仕入れ営業は、従来の手法とは異なるノウハウが求められるため、多くの疑問や不安が生じやすい分野です。
ここでは、現場の営業担当者から寄せられることの多い質問とその回答をまとめました。

法的な注意点や効率的な営業手法について正しく理解し、自信を持って日々の活動に取り組みましょう。

管理不全空家の所有者に営業する際の法的な注意点はありますか?

宅地建物取引業法を遵守し、所有者の不安を不当に煽るような営業は避けなければなりません。
法改正による税負担増の可能性は客観的な事実として伝えつつ、あくまで解決策を提案する専門家という立場で接することが重要です。
虚偽の説明や断定的な判断の提供は禁じられており、誠実な情報提供を心がける必要があります。

自分で空き家を探す仕入れと、査定サイト経由の反響営業はどちらが効率的ですか?

どちらにも利点がありますが、「効率」を最優先するなら反響営業に分があります。
自分で探す方法は競合が少ない一方、所有者特定やアプローチに時間がかかります。
査定サイトは既に売却意欲のある所有者と直接繋がれるため、短期間で成果に繋がりやすいです。

両者を組み合わせるのが理想的と言えます。
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空き家所有者への最初のアプローチは、手紙と訪問のどちらが効果的ですか?

まず手紙で用件や自身の身元を伝え、相手の警戒心を和らげた上で訪問するのが最も効果的な組み合わせです。
突然の訪問は、相手に強い警戒感や不信感を与えてしまい、門前払いになる可能性が高まります。

手紙というワンクッションを置くことで、その後の対話がスムーズに進みやすくなります。

まとめ

空き家を対象とした仕入れ営業は、競争が激化する不動産業界において、安定した仕入れルートを確保するための有効な戦略です。
本記事で解説したように、狙い目物件の見極め、2023年の法改正を活かしたアプローチ、そして所有者の心情に寄り添ったコミュニケーションを実践することで、成功の確度は大きく高まります。

これらのステップを参考に、競合の少ない市場で新たなビジネスチャンスを掴んでください。

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